あらすじ
記録されなければ、存在しない――。
監視と記録が日常化した現代日本の地方都市。高校生・高槻怜司は、生徒会の“記録係”として、クラスメイトの行動や出欠を整理・提出する日々を送っていた。
ある日、転校生・志藤ひかりが現れる。だが彼女は、どの顔認証にも反応せず、出席記録にも存在せず、カメラにも映っていなかった。ただ一部の人間に“見られている”だけで、記録上では「いない」ことになっている。
記録されないままに教室で過ごすひかり。怜司は彼女の存在の矛盾に惹かれ、調査を始めるが、それはやがて、自分自身の家族の記録改ざんや、社会に隠された“削除者”の存在を暴き出していく。
記録とは何か。観測とは誰のためにあるのか。
記録に残さずに、誰かの記憶に生き続けることはできるのか。
静かな高校生活の中で交わされた“観測”と“存在”をめぐる対話が、少年と少女の世界を変えていく――。