あらすじ
極秘研究所———小惑星基地『ラー』
時は2250年12月17日。海戦から11ヶ月が経ち、とうとうホルス国以外の全てのスペースコロニーが地球へと降伏した。
そんな絶望的な状況で、産声を上げようとするモノがいる。
絶望の渦中、産声に縋る者がいる。
そして、与えられる者がいる。
それは救済を齎すのか、破滅を齎すのか———その、どちらもなのか。
万物は産まれ落ちて初めて始まる。しかし、それならば生の反対である死は終わりを示すのか?
否。死して初めて ”亡霊” は生まれるのである。
地球を箱庭にした人類は夜の闇など忘れかけていたが、宇宙に上がったことで再び闇を知った。夜の闇を照らしてくれる街灯は宇宙には存在しない。周囲に広がる無限の暗闇は、いつしか人々が亡霊を生み出したあの底なしの闇と同じなのだ。
だからこそ。言葉面が非科学的だと否定されようとも、人々は宇宙にいる限り心のどこかで恐れている。暗闇から現れ、自分を闇へと引き摺り込む亡霊の存在を。
これは彼らが産まれ落ち、亡霊として堕ちるまでの短い物語。