あらすじ
5歳で母を亡くした高校2年生の榊原夏希は、毎年誕生日に届く母からの手紙を支えに生きてきた。18歳の誕生日で最後の手紙を受け取ることになる彼女は、母の故郷シンカワサキ市で、故人再現サービス「彩会堂」でアルバイトを始める。そこで出会ったのは、AIロボット「プサイ」と、認知症の妻の記憶を残したいという思いから彩会堂を創業した新井慧だった。
夏希とプサイは様々な「喪失」を抱えた人々と向き合う。告白できないまま亡くなった幼なじみへの想いを抱える同級生の冬真、震災で家族を失った佐伯、認知症の夫を持つ光子、父親を亡くした少女・美月。彼らとの関わりを通じて、夏希とプサイは「完璧な再現」ではなく「記憶の共有」という新しい「弔い」の形「記憶の渚」を生み出していく。
そして18歳の誕生日、最後の手紙を受け取った夏希自身が、今度は「依頼者」となる。母との記憶を「渚」に描き出し、長年抱えてきた思いを伝える時が来たのだ。
波の満ち引きが記憶を運ぶ「渚」で、夏希は自分自身の「弔い」の形を見つけ、新たな一歩を踏み出す——。