あらすじ
街で針子をしているルシルには前世の記憶がある。
百年ほど前の時代、若くして病で死んだが、それでも平穏で幸せな人生だった。
そして今世、ルシルは教会から聖女に選ばれた。
聖女――それは天に上って主神の花嫁となる女性。その実は命を捧げる神への生贄、人身御供である。
「綺麗な景色をたくさん見て、おいしいものをいっぱい食べるぞ!」
にもかかわらず、わくわくと生贄になるための旅の準備をするルシル。
そうして出発の数日前、旅の護衛隊との顔合わせで、魔術師の青年クロードに会った彼女は唐突に確信した。
この人、前世の夫の生まれ変わりだわ、と。
聖地を巡礼し、途中の名所などにも寄りながら、終着地での定められた死。
帰路はない、ルシルにとって最後の片道旅が始まる。
そしてクロードとの行く末はどうなる――?