あらすじ
江戸・吉原の裏手、見習い芸者として日々を送る少女・すず。
唄は通るが、三味線の音だけはどうしても揺れてしまう。
「その音、心がある」――そんな言葉をくれたのは、冷たい眼差しの若侍・新次郎だった。
刀を帯びながら、なぜか静かに音に耳を傾ける男。
芸を磨くたび、心を乱すたび、すずの音は変わっていく。
けれど彼には、命に関わる“ある使命”があった。
芸に生きる少女と、死に向かう男。
雪の夜に交わされた、たった一つの約束。
届くかどうかもわからない想いを、音に託して――
少女は、三味線を抱え、ただ静かに弾き始める。
言葉では伝えられない想いが、音に宿る。
恋と芸の狭間で揺れる、切なくも静かな江戸恋語り。