あらすじ
時は文化文政、江戸・深川の片隅に、目立たぬが噂が絶えぬ飯屋「やわらぎ亭」があった。看板娘は元武家の娘・おし乃。家を潰し、天涯孤独となった彼女は、父の形見である包丁一つで町に飛び込み、煮売屋の暖簾を掲げる。「旨い飯で人の心をほどく」それが彼女の信条だ。
職人、火消し、長屋の子どもたち――通う客の顔は様々だが、皆が一様に「ただの飯じゃねぇ」と唸る。その味を聞きつけた町奉行・遠山金四郎までもが、変装して店に通い始め……?
鯛茶漬け、芋がらと干し椎茸の含め煮、あんこう鍋。料理の向こうに見えるのは、江戸人の暮らしと誇り。舌と心を温める、江戸人情グルメ劇、ここに開宴。