あらすじ
時は江戸中期、最も華やかだった頃の吉原。
男たちの欲望と夢が交錯し、女たちは笑顔でそれを受け止める。
そのなかで、『笑い花魁』として人気を集める花魁・お春は、どんな客にも機嫌よく、誰にでも愛嬌を振りまき、吉原の花のような存在として咲いていた。
だがその笑顔の裏には、
決して癒えることのない過去と、心にぽっかり空いた空洞があった。
ある日、見習いとして入ってきた少女・ちよとの出会いが、お春の心に変化をもたらす。
ちよの笑顔に自分の過去を重ね、彼女を守ろうとするお春。
一方、常連客の清太郎や新造の梅吉も、それぞれの事情を隠して吉原を訪れていた。
笑いの中にこぼれる涙。
派手な着物の下に隠された傷。
咲き誇った花も、いつかは散る。
それでも、人は人に、情を通わせ、人生を咲かせるのだ。
やがて火事、別れ、身請け、再会……と、笑っていられない現実が訪れる中、
お春は「笑って見送るのが、粋ってもんさ」と最後まで花魁であろうとする。
これは、笑って、笑って、それでも涙が止まらない――
咲くために生きた女たちの、粋で切ない人情噺である。