あらすじ
異世界転生者とは、勝ち組である。
生まれた時から前世の記憶を持っていて他とはスタート地点からして違い、その上魔法の才能にも溢れ、地球の知識を活用して周囲から尊敬される。
転生者でありながら一国の王子として生まれたアレスは、前世の知識と記憶、生まれ持った絶大な魔力を使って人々から称賛され、無邪気に今世を謳歌していたのだが、その裏では魔力を持たない出来損ないである双子の兄王子ギルバードが、アレスとの差に苦しんでいた。
魔力至上主義が宗教として広まっている世界で、魔力を持たないギルバードは家族からの愛と関心、婚約者、周囲からの期待……ありとあらゆるものがアレスに奪われ、与えられたのは憐みと軽蔑だけ。そしてついには命すら奪われそうになったその時、かつて勇者との戦いで命を落とした竜王の魂に憑りつかれる。
「我らの復活にその身を捧げよ、さすれば世界の半分をお前にやろう」
結果、竜王の力の一部を行使できるようになったギルバードは、自分の居場所がどこにもない祖国から離れて、ドラゴンを使役して仲間を集め、自分たちの国を興すようになる。その事を当然面白く思わなかった周辺国や宗教はギルバードの命を狙い始めるが、その全てを退け、ギルバードの国は発展の一途を辿っていく。
これは、転生者という強すぎる光が生んだ影、その闇に吞まれた王子が自分の居場所を作り出す、そんな話。