あらすじ
演劇部ただ一人の部員、橘音葉は新歓公演に挑もうとしていた。
自らの演技に自信が持てず、脚本作りにも行き詰まる中、彼女は放課後の空き教室で一人芝居をする少女・透子と出会う。
驚くほど鮮やかな演技。けれど、透子は音葉の誘いを固く拒絶した。
「だって、君も私を忘れてしまうんだから」
彼女は虚構症候群――存在そのものを忘れられてしまう病を抱えていた。
それでも、音葉は透子を諦めない。
彼女の存在を、舞台の上に刻みつけたいと願ったから。
忘れられても、失われても、確かにここに、生きた証を。
二人の舞台が、幕を開ける。