あらすじ
大聖女選定が始まる。
大聖女エラヴァンシーから四年後に控えた大聖女選定のため、試練を与えられることになった聖女ロズアトリス。癒しの力【聖力】以外に【魔力】由来の特別な力【導き】(生命力・寿命を読み取る)を持つロズアトリスは、将来を期待された聖女。同じく大聖女候補として選ばれた聖女シャルルリエルも【聖力】の他に【魔力】由来の【無限】(際限なく力を使うことができる)を持ち、愛らしい見た目と演技力を武器としている聖女で、真面目で思慮深いロズアトリスとは正反対だった。
第一の試練を与えられたロズアトリスは大聖女エラヴァンシーの前で偉大な大聖女エラヴァンシーの名に恥じないよう努めることを宣言する。大聖女エラヴァンシーは真面目だが少しずれているロズアトリスを案じるが、その心配は的中。次期大聖女の候補として、救いの手を差し伸べねばならないと考えたロズアトリスは、非の打ちどころのない婚約者ティモシー・ド・レピュセーズ第三皇子との婚約を破棄してしまう。
一方、社交界を賑わせている悪女ロズリーヌ・トリオール。後ろ暗い噂や悪人らしい噂の絶えない彼女だが、本当はすべて嫉妬に駆られた人々が勝手に憶測した噂にすぎず、本人は潔白。ただ本人は悪女という噂を歓迎している様子だった。
ある日夜会にて。ロズリーヌがチャリティーオークションのために『女神の赤い首輪(ルージュ・ドゥ・ラ・デエス)』を出品すると、第二皇子マクシム・ド・レピュセーズに絡まれてしまう。マクシムは聖女シャルルリエルの婚約者。同じく夜会に出席していたシャルルリエルはロズリーヌを目の敵にしており、ロズリーヌと衝突する。しかし会話の流れでシャルルリエルが誰かに狙われているということを知ったロズリーヌは【魔力】由来の特別な力【導き】を使ってシャルルリエルの寿命を読み取る。すると一時間もしないうちに死ぬということが分かり、人知れずロズリーヌはシャルルリエルを救うのだが、そうとは知らないシャルルリエルの反感を買い、悪女だと罵られてしまう。
とはいえロズリーヌは悪女と言われることを良しとしていた。何故ならロズリーヌは、自分が聖女ロズアトリスだということを隠しているから――。
そんなロズリーヌに、ロズアトリスとして婚約破棄した元婚約者ティモシーが近付いてくる。実は自分でも気づかないうちにティモシーに恋心を抱いていたロズアトリス――もといロズリーヌは、ティモシーが『悪女』に近付いて来てくれたことを嬉しく思う反面、実は自分がロズアトリスだということがバレてしまわないかと警戒していたのだが。ティモシーがいつもと違っていて……。
悪戯な性格に、挑発的な態度。優しくて理解があって聡明で控え目な彼は一体どこへ? と思って従者であり友人のマルティーニに問いかけると、マルティーニはこっちが彼の本来の姿であると言う。そんな狡猾なティモシーには思惑があるようで……?