あらすじ
幼馴染として育ってきた相川湊と広瀬陽菜。気兼ねなく話せる間柄だったはずの二人には、高校卒業を目前にして、いつしか見えない『境界線』が引かれ始めていた。
陽菜に訪れる新しい恋の予感。その輝きを隣で見つめる湊は、今まで言葉にできなかった自身の本当の気持ちと、残酷なまでに直面する。彼の唯一の慰めは、父から譲り受けた古いフィルムカメラ。ファインダーを通して切り取る日常は、陽菜の笑顔も、都会の風景も、どこか切なく色褪せて見えた。
友人たちの言葉、SNSで垣間見える華やかな世界、そして陽菜自身が抱えているかもしれない密かな葛藤。様々な想いが交錯し、湊の心は激しく揺れ動く。
卒業というタイムリミットが迫ってくる。湊が最後にフィルムに焼き付けようと決意したものとは。そして、彼らがそれぞれの『境界線』を越えた先に見る景色とは──。都会の片隅で紡がれる、ほろ苦くも切実な青春の光と影を描く物語。