あらすじ

「権藤さんのことだけど、警察を辞めた理由をもっとくわしく聞いてみるよ。たしかに沖仲士に転職する警察官もいないよね。不祥事を起こして懲戒免職になったのかもしれない」 とこちらも折れた。 パートナー関係で女風をビッグビジネスにしたいという権藤に、酔った勢いもあって大いに盛り上がって簡単にOKを出したとは、今さら口が裂けてもいえなかった。 ・・・パートナーは、命を救ってくれたが正体が分からない権藤ではなく、香蘭であるべきではないかと今にして思った。 【チャタレイ夫人倶楽部 断片-1(その4) 「で、あなたの性感マッサージでその気になったマダム相手に本番もやるの?」 香蘭は、どぎつい質問をさらりと口にした。 「それはやらない」 「へえ~、やらないんだ」 「SMプレーも同じだけど、店で本番をやったら売防法にひっかかる。でも、性感マッサージだけなら風営法内におさまる。・・・どうしてもというマダムには、権藤さんを紹介する。自由恋愛ということでどこか近くのホテルに行ってもらう。金のやり取りにこっちはからまない。これでどうだ」 【チャタレイ夫人倶楽部 断片1(その3)】 権藤はすぐ隣の漫画喫茶に入り、エロビデオのコーナーから「セレブマダムの性感マッサージ」という題名のDVDをレンタルして、ふたり並んでヘッドフォンを着けてエロビデオを大画面で見た。 ・・・これは、オイルマッサージ店で、若いセラピストが性感マッサージをセレブマダムに施して盛大に汐を噴かせるメイキングエロビデオだった。 権藤は、このセレブマダム向けの性感マッサージの店舗をリアルに開いたらどうだと真顔でいった。 【チャタレイ夫人倶楽部 断片-1(その2) ひと殺しを企て、銃撃戦で頬に傷を負ったスカーフェイスにまともな仕事などあるはずがなかった。 かといっていつまでも香蘭の世話になるわけにもいかないので、俺は横浜の飯場にもぐり込み、港湾の沖仲士として働くことにした。 沖取りといって沖に停泊した貨物船の横腹に大型の艀を着け、船のクレーンで釣り上げた貨物を艀の船内に段取りよく積み上げる仕事だ。 割りのいい仕事で、特に徹夜仕事は日当が五倍になったが、波の荒い闇夜の仕事は危険だった。 【チャタレイ夫人倶楽部 断片-1(その1)】 セックスのことは彼にとって大きな意味はなかった。二人は、そのことは別にして、とても仲がよかった。コニーはセックスの関係以上のものであり、男の《満足》以上のものであるこの仲のよさに、かなり満足していた。とにかくクリフォードは一般の男性よりも《満足》を求める度合いが少なかった。否、仲のよさということは、そのことよりももっと身に染みる、もっと深いものだったのだ。そしてセックスというものは、単なる偶然ののものか付属的なものであり、退化した妙に陳腐な一つの器官にすぎないくせに、まだ肉体にしがみついてわれわれを困らせているもので、ほんとうは不必要なものと思われた。 【餓狼荒野に死す 第二部 チャタレイ夫人倶楽部《プロローグ》 東大に入学して三日で引きこもりになった兄貴が四年後に誘拐され、放火で両親が殺されたところから話そうか。 これだと、「へえ~」と食いつきがいいかもしれない。 いきなり、兄貴の身代金を要求する脅迫状が来たところからだと、話が分かりにくいだろうから・・・。 両親は、とにかく兄貴が自慢の種だった。 なにせ、私立の中高一貫のなどには行かず、そのへんの公立の高校を出て、現役で東大に合格した。 それでもって、すらりとした長身で、にきびひとつないすっきりした顔をしていた。 そいつが、三日で登校拒否。 終日部屋に閉じこもって一歩たりとも出てこない。 おふくろが食事を載せたトレーを二階の階段の上がりはなに置くと、兄貴は扉をさっと開いて猿のようにトレーをひったくり、食べ終えると空のトレーを扉の前にもどしておく。 その食事も気に入らないと、階段の上からトレーごとおふくろ目がけて投げつけた。 兄貴がトイレに入ったスキに、おふくろが掃除機をかけようとして部屋に入ったところを見つけられ、階段から突き落とされて足を折ったこともあった。 それからというもの、両親は腫れ物にさわるように兄貴に接するようになった。 子どものころから、兄貴をそれこそ子猫のように可愛がっていたおふくろは、毎日泣きはらして暮らした。 ・・・それから四年後のある朝、郵便受けに脅迫状が投げ込まれた。 【餓狼荒野に死す 第一部 ライ麦畑の殺人者 断片-1(その1)】

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カクヨム2021/06/04
  • 現在の作品フランス人形の身代金~青春はハードボイルド~