あらすじ
王都貧困街の孤児院出身のリリィは新進気鋭として界隈で知名度のある冒険者だった。
美しい容姿を目当てに男が言い寄って来る事など良くある事だったが、それらの悉くを気付くこともなくスルーし、露骨に口説かれても相手にすらしていない。
今日もリリィと仲良くなる事を狙って、話題作りの一環として一人の冒険者が話しかけた。
――幼馴染だって言っていた錬金術店、ずっと閉まっていたけど今日は開いていたよ。
それを聞いたリリィは即座に身体強化を駆使して、王都の歓楽街を異常な速さの早足で駆け抜けた。
全てはその錬金術店の主である幼馴染に会う為に。
リリィか幼馴染と会えていない期間は、もう十四日と十時間三十二分四十三秒になっていた。
抱えきれない思いを胸に秘めたリリィが、驚異的な速さの早足で幼馴染の錬金術店に辿り着くと、店の目の前には見るからに上級貴族の馬車。
高慢な貴族のお嬢様と傲慢な孤児の幼馴染はきっと喧嘩してしまうに違いない!
そう考えたリリィは急いで裏口から店に入っていく。
そこで見たのは貴族どころか、この国の王女様だった。しかも用件は幼馴染を召し抱える話。
すごい!私は王女付きの錬金術師のお嫁さんなのね!
リリィが喜んだのも束の間。
昔から奇妙だった幼馴染は不敬にも程がある態度でそれを断ってしまう。
激昂する王女様。
控えるメイドが殺気を放つのを牽制しながら緊張した空間で気絶してしまいそうなリリィ。
そんな限界状態のリリィを他所に、奇妙な幼馴染が口を開く。
孤児だろうが王族だろうが対等だと主張する奇妙な幼馴染の言い分とは。