あらすじ
異世界に転生した青年は、村人に「不吉な異邦人」として追われ、山奥の小屋に逃げ込む。誰にも名前を呼ばれず、誰からも存在を肯定されないまま、彼はただ一人で静かに生きていた。
そんな彼のもとに、ある日、傷だらけで倒れている獣人の少女を見つける。差し出された手は震えていて、声も出なかったけれど、彼はその子を見捨てなかった。
「ここでなら、何も望まなくていい」
世界がゆっくりと滅びていく音を聞きながら、二人はただ、少しずつ寄り添っていく。
戦いも救世もないこの世界には、もう「普通」は残っていない。
せめて今は、ふたりで火を囲んで、温かなものを分け合いたい。
静かに、静かに、終わっていくこの場所で。
君と一緒に、何も起きない夜を迎えられることを俺は願っている。