あらすじ
人の大本山のある中央が大妖怪ぬらりひょんを筆頭とする妖の主力を跳ね返した一方、地方では逆に妖の軍勢に滅ぼされる国が出てきてしまっている。
事実南の雄として名高い加藤家だが、最南端を守る島津家を除き他の隣国は九尾の狐率いる軍勢に落とされ、完全に押されてしまっていた。
援軍を呼ぼうにも他の地方はギリギリ一進一退の攻防を繰り広げているので、とても合力できる状況ではないだろう。
中央も勝利を収めたと言われているが、実際はなんとか追い返しただけで被害は甚大みたいだ。
しかも、幹部を多数討ち取ったとは言え、総大将であるぬらりひょんには傷こそ負わせたものの生きている。
ならば、中央だって南に援軍を送るどころか、寧ろ敵を叩くために援軍を逆に要求されかねない――となれば、もう残された手段は一つ。
中立を貫いている妖を味方に引き入れるかしかない。
「すまぬ、八十姫や。お前には阿蘇を守護する鬼へ合力を頼むため、生贄になってくれ」
当主である加藤肥後守清正は、疲れ切った表情で自分の娘にそう命令を下すのだった――。