あらすじ
成宮セイは、自分の考えを言葉にするのが極度に苦手な高校生だった。
彼は高性能な生成AI――【BUTLER】を常に装着し、友人や家族との会話、授業での発言まで、全て【BUTLER】の指示通りにこなすことで、波風立てずに日々を過ごしていた。まるで自分だけの完璧な執事を持つように。
そんなセイの日常は、入学式の日に出会った牧島アイによって変わり始める。太陽のように明るく、誰にでも真っ直ぐなアイ。彼女の自然な笑顔と言葉に、セイはいつしか心を奪われていく。
アイともっと仲良くなりたい――その一心で、セイはメッセージのやり取りも【BUTLER】に頼るようになる。【BUTLER】が生成する気の利いた返答のおかげで、二人の距離は急速に縮まっていくかのように見えた。
しかし、アイとの交流が深まるにつれ、セイは【BUTLER】が提案する「完璧な言葉」と、胸の内に芽生えた「言葉にならない本当の気持ち」との間に、無視出来ないズレを感じ始める。
「アイが笑いかけてくれるのは、本当の僕? それとも、【BUTLER】が作り上げた僕なのか?」
罪悪感と失敗したくないという気持ちの間で、セイの心は激しく揺れ動く。このままAIが作り出した仮面を被り続けるのか、それとも、傷つくことを恐れずに、自分の言葉で彼女に向き合うのか。
これは、不器用な少年がAIとの共生の中で、本物の恋を知る青春の物語。