あらすじ
義母の葬儀の日、クロエは夫から一方的に突きつけられた離婚宣言を淡々と受け入れる。隣には、深紅のドレスを纏った愛人。その勝ち誇った笑みに、クロエは思う。
――すべてを手に入れた、そう思って笑っているといいわ、と。
「では、お義母様から譲られたもの、一つだけ頂戴いたしますわ。異議は申し立てないと一筆書いていただけます?」
「一つだと? 母上はケチだな。まあ、いい。そこまで言うなら、持って行っていいのは一つだけだ。お前こそあとで文句を言うなよ」
義母が遺してくれた“ひとつのもの”を胸に、クロエは決意を新たにする。