あらすじ
春の教室、となりの席に座った蒼真(そうま)に、気づけば恋をしていた――。
けれど彼の視線は、いつだって明るく輝く結月(ゆづき)に向いていて、私の存在はすり抜けていく。
「何かの手違いで、私のこと好きになってくれたりしないかな」
そんな淡い願いさえ、彼に届くことはなかった。
今日のために髪を切った。
気づいてほしかった。ただ、「似合ってる」って、ひとことが欲しかった。
でも彼は、私を見なかった。結月の隣で、笑っていた。
報われない想いを胸に、ひとり、静かに春を終える少女の物語。
――これは、誰にも気づかれなかった片想いの、確かにそこにあった青春の痛み。