あらすじ
江戸のどこか――桃の節句に祝言を挙げるはずだった私は、女中に毒を盛られて儚くなった……はずだった。
死にたくないと強く願った途端、なぜかその魂が雛人形に宿ってしまったのだ。
女中を恨み、呪い、不幸にし、目的は果たしたのに、心は晴れず成仏もできない。
いつしか私は『呪いのひな人形』と呼ばれ、お内裏様と二人きりで人の手を渡り歩く日々。
いつまでこんな虚しい時間が続くの?
もう消えてしまいたい――そう願ったある日、隣に座るお内裏様が話しかけてきた。
『あれだけ威勢がよかったのに、どうしちゃったの?』
『人形が喋ったぁぁぁぁ!』
「おかあさーん! お雛様たちがガタガタ鳴ってる、こわいよ~」
「きゃー! 捨てるのも怖いから、お店に戻してきましょうね!」
『あ……』
『あ……』
私は果たして無事に成仏できるのかしら?
なにしろ隣のすまし顔が余計なことをしでかしまくるので。