あらすじ
とある田舎町に住む少女ニカには居場所がなく、母親は若い男を家に連れ込むことに夢中で、ニカには見向きもしない。部屋にこもり、耳を塞いでも、家の中に響く声や音は消えず、ただ孤独だけが胸に積もっていく。
中学生となり、帰り道を変えたニカは、夕焼けに染まる海辺で白いワンピースの少女と出会う。どこか現実離れしたその少女は、無表情に海を見つめ、静かに尋ねた。
「貴方、海は好き?」
その直後、少女は柵を越え、何の躊躇もなく崖から飛び降りた。驚き駆け寄ったニカが見たのは、波間に消えた少女の姿。そして次の瞬間には背後から強い力で突き飛ばされ、ニカ自身も海へと落ちてしまう。
冷たい海水が体を包み、必死にもがくニカ。しかし、深く沈むその先で、少女の白い指先がゆらめきながら伸びてくる。
「ようこそ、シンカイへ」
これは夢か、それとも現実か。
自分が帰る場所はどこなのか。
これは海と空が真っ赤に染まった時に起こる不思議な怪奇譚。選択と救済の物語。