あらすじ

雪の降る寒い世界で、キリアは生まれた。 母の愛を知らず、姉妹の中でただの「余りもの」として扱われた彼女は、いつしか感情を押し殺し、ただ生きるために餌を探すだけの存在になっていた。 ある日、彼女は青年と出会う。 彼は他の人間と違った。 餌を投げ与えることもなく、馴れ馴れしく触れることもない。ただ静かに、優しく見つめるだけだった。 青年はキリアの瞳の色を見て名前を呼んだ。 けれど、キリアは応じなかった。 それは、名を持つことに慣れていなかったからかもしれないし、あるいは、彼のその呼びかけがあまりにも優しく、心に触れるのが怖かったからかもしれない。 青年は何も求めなかった。 ただ、いつもそこにいて、キリアが来るのを待っていた。 どんなに遅くても、どんなに寒くても、決して彼はキリアを置いていかなかった。 キリアはそんな青年の存在に少しずつ心を許していく。 彼は自分の食べ物すら分け与え、キリアの小さな爪の傷にも怒ることなく、ただ受け入れ続けた。 それは、キリアが今まで知らなかった「無償の愛」だった。 ほんの数日間、キリアは青年と共に過ごした。 彼の温もりに触れ、孤独ではない時間を知った。 しかし、それでも彼の差し出す手を取ることはできなかった。 キリアには、母がいた。餌を持ち帰らなければならなかった。 彼女は、愛を選ぶことができない存在だったのだ。 春が訪れ、キリアは青年の元を離れた。 けれど、心のどこかで願っていた。 「いつか、また会えるだろうか」 しかし、現実は容赦なかった。 体は弱り、心も限界を迎え、ついには歩くことすらままならなくなった。 それでも最後の力を振り絞り、キリアは青年の元へ向かった。 彼の姿を探し、ただ、一目でも会いたいと願いながら——。

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小説を読もう2025/02/11
  • 現在の作品瑠璃色の瞳 キリアのいた冬