あらすじ

25XX年、人類はAIによる完全管理社会で生きていた。"最適な幸福"が提供されるこの世界.。人は無意識をコントロールされ、平等の幸せを享受する。 宇宙局・救済課のエージェント、ドリーは「マインドコントロールシステムの被害者」になった人々を救う任務を担っていた。AIが定めた最適解によって不幸な人生を送る羽目になった者たちを、システムの管理から解き放つ。それが彼の役目だった。 だが、ある日、彼の相棒であり、唯一の理解者でもあるジョーが突如として姿を消す。 彼が転送されたのは、AIの管理が完全ではない23XX年の火星――彗星衝突の危機に瀕する惑星だった。 彗星の破片が地表を焼き尽くし、壊滅的な被害が広がる火星。ジョーはそこに取り残され、行方不明になった。 そんな彼の前に現れたのは、宇宙局の技術開発部に所属するミッシェルだった。 「あなたがジョーを助けに行くって、聞いたわ」 「俺は行く」 ──ジョーがいない未来に、何の意味がある? ジョーが火星で行方不明になったとき、ドリーは初めて、自分の中にある「空虚さ」に気づいた。 これまで彼は、与えられた仕事をこなし、合理的に物事を考えて生きてきた。 なのに、ジョーがいなくなった瞬間、すべてが色褪せた。 「俺は……ジョーがいないと、ダメなんだな」 半身を奪い取られたような痛みだった。 ただ、ジョーを取り戻さなければ、自分が自分でいられないという確信だけがあった。 そして、ついに二人は再会する。 火星の崩壊が迫る中、ジョーは血と塵にまみれながらも生きていた。 「ドリー、お前が迎えに来てくれるって、信じてた」 「当たり前だろ……。お前を失う未来なんて、俺にはいらない」 ドリーの腕の中に崩れ落ちるジョー。 その体温を感じた瞬間、ドリーは初めて、自分が何に抗い続けてきたのかを理解する。 システムが最適なパートナーを選び、人々は疑うことなくそれを受け入れる時代。 そんな中で、"誰かを必要とする"ことがどういう感情なのか、彼は知らなかった。 ──なのに、ジョーのいない未来を想像するだけで、胸が張り裂けそうになる。 たとえ世界が敵になっても、彼を守りたい。 彼がいなければ、生きる意味がない。 ──これが愛なら、もう二度と手放さない。 彼らの決断は、未来を大きく変えてしまうかもしれない。 それでも二人は、この先もともに生きる道を選んだ。 だが、それだけでは終わらなかった。 まだ火星には救うべきものが、まだある。 生きようともがく者がいる限り、手を伸ばす。 たとえ救えるのが、ほんの僅かであっても。 たとえ、この決断に迷いが生まれようとも。 それでも、彼らは行く。 手を取り合いながら、命を奪い返すために――。 宇宙×時空×中華風SF・BLロマンス。 果てなき時の彼方で、ただお前を求める。

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カクヨム
カクヨム2025/02/22
  • 現在の作品宇宙局 救済課―運命を紡ぐ者たち