あらすじ
入学前、理想に描いた高校生活を送れている人はこの国にどれほどの数いるだろうか。
もし貴方がそうなら、一発だけでいいから殴らせて欲しい。
メガネを新調し、初めての美容室に行き、自己紹介も念入りに考えたって現実は変わらない。
僕は今日も一人だ。
ここはそんな僕の唯一の居場所。
文化部しか利用しない実習棟。その最下層、一階の最奥。軽音部の部室。
誰も来ない。誰も興味を持たない場所で僕は今日もギターをかき鳴らす。
でも僕は寂しくなんてない。
有名なバンドの有名な曲を演奏しているとき。
借り物の音楽で僕は誰かと繋がってるんだ。
音の中にいるときだけが、僕が僕でいられる時間だから。
そんなある日、僕がいつもの如く一人、ギターをかき鳴らしていると突然ノックもなしに扉が開き、クラスメイトの女子が現れた。
「今の曲ってアレだよね!あのアニメのー、ほらっ!なんだっけ?」
僕の青春が、始まったのかもしれない。