あらすじ
秋田マタギの頭領(スカリ)だった祖父との約束でマタギになった俺――西根バンジは、念願叶って地元にジビエ食堂を開業したその日、事故に遭って死んでしまう。そこで山の神様であるアズマネ様と出会った俺は、生前の祖父と山神様の約束によって異世界転生を果たすものの、転生先の異世界は獣を狩って食べるという狩猟文化が衰退した世界だった。
転生した先の異世界でも同じように獣を飼って暮らしていた俺はある日、巨大な魔獣に襲われかけていた辺境の村の聖女・リーシャと出会う。絶体絶命の危機に瀕していたリーシャを救うべく、魔獣を討ち取ろうとした俺に向かって、リーシャは思いがけないことを口にする。
「ゴライアス・ベアは唯一神デミュアスのお遣いの魔獣――! 手を出したら私の村に呪いが降りかかります!」
そう、俺が転生した先の世界は、唯一神教会なる怪しげな宗教が台頭し、唯一神のお使いであるという魔獣が野放しにされ、人々の安全が脅かされている世界だったのだ。
「魔獣一頭の命は一億の人間の命より重い」
「己の肉体を魔獣に差し出すことで罪が滅ぼされる」
「魔獣を殺すと神の怒りを買って呪われる」
その歪んだ死生観に激怒した俺は、リーシャの制止を振り払って魔獣を討ち取り、その魔獣の肉を美味しいジビエ料理にして村人に振る舞い、人間と獣の命に差などないことを思い出させてやることにする。
最初は神の怒りを恐れていた村人も、徐々に俺の作った魔獣ジビエの美味しさに目覚めてゆくものの、それは同時に魔獣を保護しようとする唯一神教会と、それを国教とする国に反逆することを意味しており――。