あらすじ
世界にはもう、“呪い”はないはずだった。
けれど、それでも――
言葉を持たずに生まれた少年がいた。
彼の名は、ネム。
「産声をあげなかった子」として忌まれ、名を与えられず、
言葉を知らず、言葉を聞かず、言葉に触れず育った少年。
けれど、彼の心にはいつも――ある音が響いていた。
それは誰かの声。
やさしく、なつかしく、時折涙を誘う、誰かの“呼びかけ”。
彼はある日、拾った古い旅人手帳の最後のページに、こう書かれているのを見つける。
「声は、誰かを照らすためにある」
「名前は、存在を世界につなぐ魔法だ」
――リオ=アステル・クロード
ネムは思った。
「自分にも、名前があったんじゃないか?」
「誰かが、自分を呼んでくれたことがあるんじゃないか?」
「ならば――探しに行こう」
言葉を知らぬ少年が、声を探す旅に出る。
その手には、“名前を書き換える魔法の羽ペン”。
その背には、かつて竜だった者の羽の欠片。
その心には、まだ誰にも呼ばれていない“本当の名前”。