あらすじ
時代遅れと笑われても、朝霧樹(あさぎりいつき)は一切AIを使わない主義だった。
学業も人間関係も筋トレもすべて自分の力でやり遂げることに誇りを持っていた彼は、AIに依存する同級生たちをどこか冷めた目で見ていた。
しかしある日、樹は学校の中庭で一人の少女・十六夜天音(いざよい あまね)に目を奪われる。彼女は美しく、優雅で、まるで物語の中から抜け出してきたかのような存在だった。だが、彼女と話をするきっかけがまったく掴めない。
意を決して彼は行動を起こそうとするが、どうにも彼女に近づけない。
すると、相談した友人から衝撃の事実を知らされるのだった。
「十六夜天音と話をするには、AIの力を借りるしかない」
彼女は最先端のAIシステムを活用し、AIによって導き出された理想の人間関係の中でしか交流しない主義だったのだ。
プライドを捨てるか、恋を諦めるか。
葛藤の末、樹は初めてAIを使うことを決意する。AIの分析を活用し、天音と接点を持ち、彼女の興味を引く方法を模索する日々。
しかし、AIが導き出した「理想の会話」「完璧なアプローチ」を繰り返すうちに、樹はふと疑問を抱く。
「これは本当に俺の気持ちなんだろうか?」
やがて、AIに頼ることで天音に近づくことができたものの、樹は次第に自分を見失っていく。
そんな彼に、天音が思いがけない言葉をかける。
「私は、AIが導き出した正解よりも、あなた自身の言葉を聞きたいの」
AIに頼ることで恋を成就させようとした樹は、最後にAIではなく、自分の心で天音に向き合うことを決意する――。