あらすじ
体験談を基にしたドキュメンタリー風小説です。長編小説の一部となる物語です(本編は医療ドラマではありません)。
「夫婦とは、命を分け合うものですか?」
本作は、日本のある夫婦が直面した決断を基にしたモキュメンタリーである。
**佐倉陽介(さくら ようすけ)と佐倉真帆(さくら まほ)**は結婚22年目の夫婦。二人の間には中学生の息子がいる。平凡だが穏やかな日々を過ごしていた彼らの生活は、ある日突然の診断によって大きく揺らぐ。
真帆の腎機能が著しく低下し、このままでは透析が必要になることが判明したのだ。移植が最良の選択肢だが、ドナーを待つ時間は長く、見つかる保証もない。
陽介はためらいなく「俺の腎臓を使ってくれ」と申し出る。しかし、医師は「生体腎移植にはドナー側のリスクも伴う」と慎重な姿勢を崩さず、家族や友人たちからも「無理をするな」「子どもたちのことを考えろ」と反対の声が上がる。
「夫婦だからこそ、助けたい」
「夫婦だからこそ、あなたに負担をかけたくない」
お互いを想うがゆえに、対立し、すれ違う二人。モキュメンタリーのカメラは、手術に至るまでの苦悩の日々、夫婦の葛藤、子どもたちの心の揺れ動き、そして家族の絆が深まる瞬間を静かに映し出す。
手術当日、真帆が目を覚ましたとき、彼女は何を思うのか。そして、陽介が選んだ「命を分け合う」という決断の先に待っていたものとは──。
これは、ただの医療記録ではない。
「夫婦とは何か」を問いかける、ある家族の物語である。