あらすじ
七海は、二人の子どもを育てながら常に家族を優先してきた。
子育てに疲れ心が悲鳴を上げている時、夫の春樹から溜め息交じりに言われる言葉は「母親なんだから……」だった。
そんな夫の言葉に追い詰められる七海。しかし、弱音や愚痴を言わなくなると”母親らしくなった”と以前のような笑顔で話しかけてくる。
『私が変われば付き合った頃のような春樹に戻るかも……。そして幸せな家庭を築くことが出来るはず』
そう思い、夫に頼ることを止め辛いときも部屋の隅で一人丸くなり、感情を消化していた。孤独と悲しみの中で、土砂降りの中を傘もささずに当てもなく一人歩いている気分だった。
そんなある日、夫が県外へと異動を言い渡される。
春樹から出た言葉は「一人で行こうと思っている」だった。
これまで家族4人で幸せな家庭を築くことを目標にしていた七海は、家族の意見を聞く前に春樹が結論を出したこと、そして単身赴任を選んだことにひどく落胆する。
そんな時、独身時代に行っていた思い出の喫茶店で恭吾に出会う。恭吾と出会ったことで、七海は久しぶりに「自分」を取り戻し始めるが、それは同時に七海を苦しめるものでもあった。心の中で、恭吾との時間を楽しみたいと思う自分と、自分は母親で守るべき子どもたちがいるのだから恋心を持っていけないと正義感ある自分が戦っている。
"母"として、"女"としての2つの違う愛に揺れる七海が最後に選ぶ道とは……。