あらすじ
祝祭(カルネヴァーレ) の舞台と人物紹介
《舞台》
十二世紀 威尼斯《ヴェネツィア》共和国
海上交易都市国家
基督《キリスト》教国でありながら、希臘《ギリシア》正教を国教とするビザンツ帝国を宗主国とし、回教《イスラム》国家とも交易において深い繋がりを持つ。
「はじめに威尼斯人、つぎに基督教者」という言葉に言い表されるように、信仰よりも経済活動を優先させるその国民性は、当時としては特異であると言って良いかも知れない。
この物語は、そんな国の片隅で出会った、人と、人でない者たちが《祝祭》に至るまでの物語……
【シルヴィア・バルトリ】
本編のヒロイン
威尼斯商人、マルコ・バルトリの四女にして二十一歳。未婚。
十二世紀当時としては、嫁き遅れである。
蜂蜜色の巻き毛、榛の瞳、いわゆる美人ではないが愛嬌のある顔立ちをしている。
ヘルメス雑貨店には、先代ヘルメス老のころから入り浸り、自身の夢を語っていた。ヘルメス少年とも仲が良い。
父親の商売が上手くいかなくなったことにより、持参金が準備できず、修道院に遣られていた。ある事情により修道院を逃げ出し、追われていたところをガルシアに助けられる。
特技は家事一般
【ガルシア・アリスタ】
通称、「蒼き峰の主《あるじ》」にして、吸血鬼
癖のない黒髪、紺青の瞳、長く戦場にあった者らしい野性味と、貴人らしい典雅な物腰をあわせ持つ美丈夫。
外見年齢は二十五歳前後。
かつて人間だった頃は、ピレネーの小国の国王だったが、現在は威尼斯の一角で従弟とともに隠棲している。
穏やかな表情に、寂しさと哀しさを垣間見せる青年。
特技は……いろいろあるようだが、やる気が不足しているせいであまり表に出てこない。聖書が暗唱できる。吸血鬼のくせに。
あと「とてもお上手」である。
なにが上手なのかは本編参照のこと。
【アシエル・サヴァラ】
通称、「武闘と舞踏を司りし天空の鷹」にして吸血鬼
外見年齢は十八歳前後。
ゆるい巻き毛の黒髪、蒼天を映したかのような蒼い瞳。ガルシアの従弟で、身なりも挙動も、軽薄な貴族の子弟といった趣(おもむき)だが、主であるガルシアのためなら、どんなことでもする覚悟がある。
曰く、「サヴァラ家は、王にできないことをする家系」
特技は、通称が示すとおりである。
アラビア風の二振りの曲刀が得物。
【ヘルメス少年】
威尼斯の天国の道(カッレ・デル・パラディーソ)にある「ヘルメス雑貨店」店主にして錬金術師《アルキミスタ》。年齢に似合わぬ大人びたしゃべり方をし、博識。
外見年齢は八歳前後。
銀髪に近い金髪、翠玉の瞳を持ち、すこし肌の色が濃い。
シルヴィアと旧知の仲であるが、シルヴィアは少年の正体を知らない。
その正体は錬金術の奥義を究めし緑柱石の石版(タルガ・ディ・ズメラルディ)の所有者、転生の奥義によって永劫に似た時間を生きる失われし古大陸《アトランティス》の王、ヘルメス・トリスメギストスである。