あらすじ
2025年の大阪万博を目前に控え、東京の高級居酒屋で語られるのは、70年万博の記憶と現代社会への複雑な想い。65歳の広告マン高橋と72歳の建築士野村、かつて同じ会社で働いた旧友ふたりが、当時の高揚感と今の停滞感を静かに語り合う。高橋は10歳の頃、1970年の万博でロボット館1000万人目の来場者として特別な経験をしたという。野村もまた、青春時代にその場を訪れていた。未来に胸を躍らせたかつての子供たちは今、少子高齢化や不透明な技術進化を前に、「未来」はもはや希望ではなく不安の対象になりつつあると感じている。だが、孫たちの世代に未来へのまなざしを渡すことの意義を見出し、再び万博の地へ向かう決意をするふたり。変わりゆく時代と変わらぬ人間の希望を描いた、静かな共感と未来へのエールが込められた物語。