あらすじ

核戦争後の地球は灰色の雲に覆われ、放射性物質を含んだ雨が降り注ぐ荒廃した惑星へと変貌した。人類は地下シェルターや月面基地で生活を余儀なくされていた。太平洋沿岸の旧軍港には、高レベル放射線下でも稼働可能なメイドロボット『サクラ』がいた。その基地は感情を持たない軍事AI『イプシロン42』によって管理されていた。サクラは人類の非合理的判断を模倣するために存在していた。  月面居住施設から緊急通信が入る。月面基地の戦略資源が枯渇寸前の状態であり、通常の化学ロケットでは到着が遅すぎるという危機的状況だった。サクラには基地の地下深くに眠る試作兵器を使用して戦略資源を月へ射出する任務が与えられる。  その兵器は全長四十二メートルの超電磁レールガンだった。サクラは八メートルの高さを持つ強化外骨格『ガーディアンMK-III』に神経接続し、レールガンを操作することになった。頚椎のメンテナンスポートに接続ケーブルを挿入すると、十二トンの巨体が自分の身体のように感じられた。  基地の最深部から巨大なターンテーブルに搭載されたレールガンが地上へと運ばれる。作業ロボットたちによって、銃身の接合や超伝導ケーブルの接続が精密に行われていく。発射時の反動に備えてスタビライザーが地面に打ち込まれ、核融合炉の出力は百パーセントに達した。  かつての核弾頭外装を流用した頑丈な物資カプセルが装填され、月面基地への角度が調整される。カウントダウン後、サクラはトリガーを引いた。世界を裂くような閃光と轟音とともに、弾頭は秒速十五キロメートル以上の速度で空へと消えていった。強大な反動が強化外骨格を通じて伝わるが、サクラはなんとか体勢を維持する。  かつて敵国を破壊するために作られた兵器が今は人類を救うために使われている。メイドロボットのサクラは、人類不在の基地で重要な任務を遂行していくのだった。

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カクヨム
カクヨム2025/03/25
  • 現在の作品ルナティックシューター ~天体間精密射撃~