あらすじ
夜の細く入り組んだ住宅街の道――『蛇道』を歩くのが、いつの間にか習慣になっていた。
理由なんて、特にない。ただ、気がつけばそこに足が向かう。
満月の夜、彼女と出会った。
静かな灯りの下、緑のカーネーションを髪に飾った少女。
名前を聞くと、彼女は微笑んで「琳」とだけ名乗った。
夜ごとに、僕たちは偶然のように出会い、言葉を交わした。
彼女は時に挑発的で、時に儚く、そしてどこか遠い世界の住人のようだった。
「私は夜の住人だから」と、冗談めかして言う。
けれど、彼女の言葉には、いつも何かが隠されているように思えた。
彼女は誰なのか。
なぜ夜にしか会えないのか。
なぜ、満月の光の下で微笑むのか。
── 「嘘つきの夜」に、僕は恋をした。