あらすじ
※本作は『クールヘッド、ウォームハート』を公募用に改稿したものです
──21XX年
通信、物流、文化、そして文明の分断を起こした「分断戦争」から1世紀、人類は分断されたまま社会を立て直していた。多様な都市が多く生まれたが、その性質は同一性と秩序の“ロウ”、多様性と自由の“ケイオス”と、大きく二分される傾向にあった。それぞれの社会が問題を抱えていたが、特にケイオスの多くでは治安が乱れ、軍や警察が機能していなかった。そこで行政は犯罪を取り締まるため、犯罪者たちに略奪行為を行う「プライベーター=私掠者」の存在を認めていた。
ケイオスの街シェンシャーでプライベーターを生業とするフィスタとチャカは、ロウズから逃げ出してきたというメンデルから依頼を受ける。それは、ロウズから一緒に出てきたルーシーとの逃亡を助けてほしいというものだった。
しかしフィスタたちは知らなかった。ただの逃がし屋だった思われた依頼が、人類の新しい未来を創り出す壮大な計画の一部だったことに。
登場人物
フィスタ
シャオランドシティのプライベーター。“アクトレス”の異名を持つ。
年齢不明、人種不詳の女性。特殊虹彩の染料で染められているボブカットの髪は光の加減で色が変わる。
エメラルドグリーンのボディスーツの上に丈の短いジャケットを着用している。
常人離れしたボディコントロールと感覚のコントロールが可能で、多くの格闘術やサバイバル術を身に着けている。
戦闘に関しては冷酷だが感情の切り替えが早く、普段は人間味のあるちゃらけた性格と外見をしている。三年前にケイオスの街シェンシャーに記憶喪失の状態で現れた。生き別れた娘を探している。
チャカ
フィスタの相棒のプライベーター。“ドラゴンフライ”の異名を持つ。
40代。アフリカ系。
上下黒のスーツを着用。
目まで覆っている白いヘルメット状のディバイスを義眼に接続して、一度に広範囲を見渡すことが可能。その特質を活かした射撃術を得意とする。数少ない銃の所持と使用を許可されたプライベーター。
「午前中は働かない主義」、「ポテトは野菜と見なさない主義」など、多くの「主義」を持つ。
エル
行方不明の父親を捜す少女。11歳。
クレイトス
エルの父親。投薬実験により、小型のゴリラ並みの肉体を持つ。
テセウス
プライベーターの老人。体がの大部分がサイバネティックス手術を受けた機械になっている。シェンシャーの女は彼を殴った女か、彼をもう一度殴りたい女の二種類だと言われている。
メンデル
ロウズから逃げてきた60代の男性。記憶をなくす前のフィスタと関係がある。
ルーシー
メンデルがロウズから連れ出した8歳の少女。人種系統不明。
マステマ
人身売買の組織のリーダー。アンドロイドではあるが情緒が不安定で、執拗にフィスタたちを追跡する。