あらすじ
悪役令嬢のクロエは、婚約者であるラインハルト王太子から突然の婚約破棄を言い渡される。しかもその理由は、王宮に仕える公爵令嬢リリアナへの乗り換え――クロエが彼女をいじめたという濡れ衣まで着せられていた。
「こんな女とは結婚できない!」
社交界の前で冷たく言い放つラインハルト。しかしクロエは、涙を流すこともなく、その言葉を静かに受け入れた。――むしろ、これは好機だとさえ思った。
(こんな裏切り者と結婚しなくて済むなんて、むしろ嬉しいわ)
だが、父である侯爵家はこの騒動の責任を取り、クロエを国外追放すると決めてしまう。信じていた家族にまで見捨てられ、すべてを失った彼女は、一人で王都を去ろうとしていた。
そんな彼女の前に現れたのは、王国最強と名高い騎士団長、セドリック・フォン・アイゼンだった。冷酷無慈悲と恐れられる彼は、クロエをじっと見つめると、思いがけない言葉を口にする。
「……お前、俺の妻になれ」
冷たい瞳の奥に宿るのは、確かな執着と、クロエへの深い愛情。彼の真意を測りかねるクロエだったが、もう行く場所もない。
こうして、婚約破棄された悪役令嬢クロエは、訳ありな騎士団長セドリックの元へと嫁ぐことになったのだった――。