あらすじ

赤いベレー帽を被った、黄緑色のロングヘアに桜色の服とスカートを穿き、背中には無色透明な翼がある、小さな女の子。メロディ・ウォータと言う名の、漫画の妖精である。 わたしは、幼稚園生だった頃から絵を描くことが好きで、将来の夢は漫画家になる、と決めていた。そんなわたしの面前に妖精の彼女が姿を現したのは、自宅から徒歩圏内にある市立小学校の入学式でのことだった。 二年間、通い慣れた幼稚園から卒業してすぐに、まだ見慣れない、小学校の体育館、その場所で執り行われている式の、しゅくしゅくとした雰囲気に呑まれ、わたしは完全に緊張してしまった。前方のステージに設けられた演壇に壇上した学校長による、長い祝辞もまったく耳に入ってこないくらいに。 「大丈夫よ。もう少しで、式は終わるから」 そう、横一列に並ぶ椅子のひとつに座り、前を向きながらも、両肩が上がるほどガチガチになっているわたしを励ます女の子の声が、すぐ傍で聞こえた。その声で、はっとしたわたしはきょろきょろと周りを見廻す。そこに女の子の姿はなく、まっすぐ前を向き、やや緊張の表情をしている二人の男子が、わたしの両隣に座っているだけだ。 後ろの席の人が、わたしに声をかけてくれたのかな……? それとも、緊張するあまり、幻聴が起こったのかもしれない。 確かめるためとは言え、さすがに振り向く勇気がなかったわたしはただただ、不思議に思うだけだった。 夢野林檎(ゆめのりんご)名義で、女児向けのマンガ雑誌『シュシュ』にて少女漫画を連載している篠原さくらと、漫画の妖精メロディが出会う、不思議でファンタスティックなお話です。

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カクヨム
カクヨム2025/03/10
  • 現在の作品夢の林檎と夢見るさくら