あらすじ
わたし――薛不習は、小説家の端くれである。
舞台は、安史の乱以後、衰退して行く唐王朝の都である長安。薛不習は、小説の取材のために街中を歩くのを日課としている。しかし、そこでは、かつての華やかで、国際的な文化は失われていた。もちろん、彼女の親しい友人も、家族も……。
ある冬の日、薛不習は呂氏と名乗る美貌の男性に声をかけられる。呂氏曰く、わけあって妓楼に潜伏しているのだ、と。彼の仕草や口調を見ると、冗談とは言い切れない様子である。薛不習は、呂氏につきまとう危険な香りに惹かれて、彼との特別な交流に身を乗り出して行く。
物語は、こうして唐朝の混乱期をきらびやかに、哀しく展開する。
理想と孤独の狭間で、自らの生き方を求める人物たちの中国伝奇ロマンス。