あらすじ
【完結まで毎日更新】
水棲変質症。四肢をはじめとした筋肉、内臓、骨格すべてを魚類__水棲生物に変質してしまう奇病。
__忘れちゃうことと、覚えていることって何が違うんだろう。
高校二年の七月、遠國万璃(とおぐに-まり)は親友・春原碧(すのはらみどり)から水棲変質症に感染したことを打ち明けられる。だから、残された時間でめいいっぱいの思い出を作った。万璃にとって、碧は世界そのものだったから。
けれど、碧の身体は病気の進行とともに、人間らしさを失い、少しずつ《シーラカンス》へと変わっていく。
「万璃、あたしの名前を覚えていてね。万璃の隣には絶対に碧だねって、みんなに言わせるくらい。だから、そうだね。万璃の子供の名前にしてよ。一生、覚えていて。悲劇の象徴でも、高校時代の親友でも、なんでもいい」
碧はいつものように、紙パックジュースの底を開きながら、一気に飲み干す。
「だからね。あたしのこと忘れていいよ」
目次
序章 シーラカンスのムニエル
第一章 ムニエルの作り方をおしえて
第二章 わたしは、恋をしている。
第三章 海行きの鈍行列車
第四章 この切符は当日に限り有効です
第五章 わすれること、おぼえていること
第六章 泳ぎ方をおしえて
終章 これまでのすべてがひつようだった