あらすじ
辺境を守るティフマ城がいま、敵の手に落ちようとしていた。
隣国フィーアンダの領地を奪おうとし、逆に攻め入られてしまったのだ。
領地を奪えと命令したはずの第四王子が声を荒げる。
「城主が居ないのであれば、お前が自らの命を差し出して命乞いしろ!」
ティフマ城の城主の娘マリアーナは、婚約者である第四王子にそう責任を押し付けられてしまう。
降伏を宣言したマリアーナは、自分の命と引き換えに敵将アルベルトへ城内の者たちの助命を請うた。
だが、アルベルトは隠れていた第四王子とともにマリアーナを攫い、さらには――
「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」
戦の代償として、そう宣言されてしまった。
マリアーナは国境を侵犯した城主の娘として粛々と受け止める。
マリアーナを妻にすることは、フィーアンダ国の“利”になるらしいと知り、周囲から白い目で見られながらも淡々と日々を過ごす。
だが、マリアーナは当初から困惑していることがあった。
「国境を侵犯した城主の娘」であるはずなのに、自分を見るアルベルトの視線がおかしい。
(温かい、優しい眼差しだなんて、そんな風に感じるわけないわ……何かの間違いよ)
しかし、アルベルトと言葉を交わすうちマリアーナは彼に心を寄せるようになる。
アルベルトもまた、マリアーナを妻にするということを、実はずっと昔に固く誓っていたことであった。
ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。