あらすじ
十五年前に起きた一つの事故によって、未来ある四人の高校生の命が失われた。だが、時同じくして彼らの肉体へと天から舞い落ちてきたのは、四つの天使の魂だった。
天使の魂が肉体に宿ったものは不老不死となり、老いることもなければ、死ぬこともない。
決して望んでいた訳ではなかったが、その肉体を得てしまった沙結にそれ以前から同じ境遇に置かれていた当時の高校の担任である登坂先生はこう言った。
──この事を、決して他人に知られてはなりません。
それからというもの沙結は自らの死を偽装し、そして美月という偽名を名乗り、ちいさな港町で息を潜めるようにひっそりと暮らしていた。そんな沙結の元へとある日一通の手紙が届く。
〈東堂沙結様 あなたが今も当たり前のように息を吸い、この世界で生きていることを知っています。〉
差出人不明の、その一通の手紙を読んだその瞬間、沙結は膝から崩れ落ち、「あり得ない」と無意識にそう口にしていた。東堂沙結。その名前は、死を偽装した時にはとうに捨てており、ましてや沙結が生きていることを知っているのは世界で五人しかいなかったからだ。その一通の手紙が、孤独に苛まれながらも平穏に過ごしていた沙結の人生を一変させる。
これは、老いることもなければ死ぬこともない、無限に続く時の中で救いを求め、生きる意味を見いだそうと地上で足掻く天使たちの物語。