あらすじ
中本季世は幼い頃に両親を喪い、知覧にいる叔母夫婦に育てられた。
昭和十八年、季世は軍より特攻兵の身の回りの世話をするように連絡が届く。
「訓練兵の手紙の投函も、お願い出来るか?」
基地から出せば、検査にかけられる。指導教官・立花一登に依頼され、季世は密かに手紙を預かる。
藤岡智志は大学卒業を控え、招集された。希望も何も聞かれぬまま、特攻兵になった智志は季世にある少女の面影を見る。
父の友人が亡くなり、少女は藤岡家に数週間だけ預かることになった。
五つ下の少女を、智志は妹が出来たと喜んだ。そしてそれが、真実だと思い込んだ。
季世に惹かれ愛していることに気付き、智志は季世を寄宿舎の部屋に入れなくなる。
智志の気持ちが分からず、嫌われたと落ち込む季世。
「怖いんだ、自制心がなくなりそうで」
食堂の女主人に話す、智志の本心を知った季世は自分も智志が好きだと告白する。
「君の好きとは意味が違う、僕は聖人君子じゃない」
初めての口づけを交わした日、季世は智志と結ばれた。
何度も求められ、快楽を仕込まれる情事に季世は泣く。
翌朝、智志は群馬県にある藤岡家に手紙を出す。
「季世を愛しています。例えば妹であっても」
喜び駆けつけた両親の前で、智志は幼き日の出会いから季世を愛していたことを告げる。