あらすじ
滅びゆく世界で、最後に残された歴史の証人は――。
星が砕け、降り注ぐ夜。
何十年かに一度、いや、今世紀最大と謳われる流星群が、静寂の宇宙を彩る。
その光の下で、一人の歴史学者が最後の記録を刻んでいた。
月の地上と地下、分かたれた人々。
遺伝子に刻まれた「善」と「悪」の境界。
それでも、歯車のように整えられた世界は、たった一日で崩壊する。
――けれど、歴史は残さなければならない。
どんなに惨めで、どんなに滑稽で、どんなに愚かであったとしても。
酸素が尽きるまでのわずかな時間。
記憶を、使命を、思いを、
たったひとつの数式に込めて。
滅びの中で光を刻む、孤独な魂の物語。
終焉を見届けた歴史学者が紡ぐ、最後の記録。
――その証は、未来の誰かに届くのだろうか。