あらすじ
クエイル王国の片隅で魔法研究に没頭する十七歳の下級貴族、グレーム。
彼の平穏な日々は、ある日突然の知らせによって大きく揺れ動く。
「第一王女ジョルジャ殿下との婚約が決まった」
突如として告げられた兄の言葉に、グレームは戸惑いを隠せない。
しかしそこには、切実な理由があった。
世間で【魔法使いの呪い】と囁かれる、奇妙な症状に苦しむジョルジャ。
賑やかな場所では、天使のような声を響かせる彼女だが、静かな場所では、誰の耳にも彼女の声は届かない。
王家は呪いを公式には否定するが、ジョルジャ王女の症状は文献に残る呪いの特徴と一致している。王家は婚約を隠れ蓑に、グレームに呪いの解明を期待していた。
それはグレームにとっても、長年の夢だった魔法の謎に迫る千載一遇のチャンスだった。
疲れ切った表情を浮かべる王女に、グレームは彼女の回復のため、尽力することを固く誓う。
しかしその裏で第二王女フランチェスカは、姉への嫉妬に身を焦がしていた。
その完璧な容姿の奥に隠された劣等感が、彼女を禁断の呪いへと駆り立てる——。
「もうこの世に【魔法使い】は居ません。だからこそ【魔法】は、呪いになってしまったのだと、俺は思います」
二人、紡ぎ出す小さな希望は、やがて確かな絆へと変わっていく。
思いがけない婚約から始まる、ファンタジー・ミステリー、開幕。
一日置きに掲載予定。
クロスフォリオにて先行公開中
https://xfolio.jp/portfolio/KounoKoharu/works/3743438