あらすじ

このお話は、on作『ピアス』のリメイク作品です。 大学三年生の吉兼(よしかね)遥飛(はるひ)は、大学入学後に新人賞を受賞し、今後を期待されている駆け出しの小説家、兼田(かねだ)ハルとして活動していた。ところがある日、不注意で新作の原稿データが入ったUSBメモリを友人に渡してしまい、そこから全ての内容が流出してしまう。 生まれながらにして裏切られやすい体質であり、人間の醜い部分をよく知っている。そう考える遥飛は、逆境に追い込まれる度に、自らピエロの化粧を施し、本心を誤魔化して生きてきた。しかし、入学以来の友人に裏切られ、出版社からも見限られたこのとき、ついに限界を迎えてしまう。 疲労困憊の体で街中をほっつき歩いていると、やがて意識が朦朧としてくる。ようやく死ぬことができる、この苦しみから解放されると彼が目を閉じたとき、上から降り注いできたのは、「君…死にたいの?」という澄んだ声だった。化粧の下でずっと望んできた死を目の前にして、遥飛ははっきりと肯定しようとする。しかし、実際は、首を横に振ってしまう自分がいた。自分の行動が理解できない遥飛は、こんな状況じゃあまだ死ねない、と強く思う。それでも無常に、意識は遠のいていった。 その後、意識を取り戻した遥飛は、月明かりの下に佇む、非現実的なほど美しい女性と出会う。彼が道で倒れたときに話しかけてきたであろうその人は、「死にたくないの?」と聞いた。その耳には、天使のように可憐な容姿にはひどく不釣り合いな、幾つものピアスが突き刺さっていた。 彼女は何者なのか?遥飛の「死」に対する咄嗟の否定の真意は? お互いのことを何も知らない、死への希望と生への絶望を抱えた二人が踏み出す先に待つものは、一体何なのか? 天使、それは人間に、生と死、希望と絶望を与える存在。常に二律背反を背負いながら、微笑み続ける神の使い。 これは、天使のような人間と、人間のような天使が、 生と死の間で交錯する、闇夜でのお話。

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カクヨム
カクヨム2024/07/13
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