あらすじ
八月十日
芥部辰之助氏、自殺す――
文壇の天才として知られる芥部辰之助(四十五)氏は八月十日未明、神田区の自宅書斎にて自殺を遂げた――
現場には大量の睡眠剤が発見された――
(八月十一日刊行 日ノ出新聞より抜粋)
『商店街で私をみた。贔屓にしている呉服屋の着物を羽織り、ただ歩いている。あれは私だった。私はここにいるはずなのに、私がみた私も、また私だったのだ』
(十月三日出版 著:芥部辰之助『絶筆』より抜粋)
廃刊が決定したオカルト専門雑誌の記者――鬼門シゲルは、謎の書置きを残して他界した天才作家の死を追っていたが満足に情報が集まらない日々を送っていた。そんな中、先輩の大乗に新しい記事ネタを紹介される。それは『見世物小屋の影無し男』というものだった。
影無し男――太宰と共に様々な化物を書き記していくシゲル。だがそれは、彼の無くなった影の真実にも繋がっていくことになる。
こっくりさん、オスガタ様、鬼女、そして影無し男。
何でも御座れな明治モダンの化物奇譚――ここに開幕。