あらすじ

(あらすじ)  夏希が経営する海辺のカフェ〈Diary〉は、特別な香りを提供する独特な場所である。ここでは、客の要望に応じて様々な思い出の香りを調合し提供している。ある日、夏希の前に春香という幼なじみが現れ「見返した日記には、一ページだけ意味のわからない箇所がある。――そんなときにピッタリの香りを」という不思議な注文をした。  実は春香は認知症を患い、夏希のことを含めた多くの記憶を失っていた。彼女の記憶喪失は、香りを使って記憶を呼び覚ますアプリ〈NIKKI〉の影響だとされ、春香に〈NIKKI〉を勧めたことを夏希はいまも後悔していた。  夏希はもう一人の幼なじみの冬真に協力をあおぎ、春香が忘れてしまった思い出を、香りの力で取り戻そうと努力する。春香の思い出の香りを探求し、夏祭りの香りや花火大会の匂い、幼い頃から三人でよく遊んだ秘密基地の匂いなど、色々と試してみるが、どれもうまくいかない。  春香がカフェを飛び出し、秘密基地である海辺の小屋に向かった。追い詰められた春香を見て、夏希はもう思い出さなくてもいいと伝えた。秘密基地の香りに触れた春香は、ようやく〈NIKKI〉で記憶を編集した過去を思い出す。夏希が冬真に想いを寄せているのを知っていて、なお春香は冬真に告白したことを彼女はとても気にしていたのだ。春香は、三人の楽しかった思い出が、いやなものに変わってしまうのを恐れて、思い出せなくなるよう〈NIKKI〉で香りと記憶の結びつきを自ら解いたのだった。  春香は足繁くカフェに通うようになり、三人で過ごす時間が増えていった。今日もまた春香はやってきて、あの不思議な注文を口にする。春香の口から出た言葉に、夏希は目を細めた。

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カクヨム
カクヨム2025/01/22
  • 現在の作品夏の思い出が香る場所