あらすじ
とある古びた一軒家。午後三時の穏やかな風が窓から入り、カーテンをふわりと膨らませる。布団に横たわる老人は、そばで洗濯物を畳んでいる女に声をかけた。
「なあ、君」
「はい、なんでしょう」
「君が突然この家に来てから、もう随分経つな」
「はい、そうですね」
「君は嫌な顔ひとつせず、こんな老人の世話をしてくれて、本当に感謝しているよ。だが……」
老人は言葉を区切り、ゆっくりと唾を飲み込んでから続けた。
「君はいったい何者なんだ? どこかの支援団体から派遣されたのかと思ったが、泊まり込みだし、どうも違うみたいじゃないか」
「はい、違います」