あらすじ
水上貴利花は美術の才能に秀でた深早山高校の二年生である。
貴利花は友人と益体のない雑談をしながら絵を描くのが好きだった。自分の才能や周囲に関心のない貴利花にとって大切なのは、雑談と絵だけだった。
部長に嫌いな体育祭の横断幕デザインを任され、普段の行いから断り切れず憂鬱となっていた貴利花は教育実習生の逢坂玲人に恋をし、デザインそっちのけで夢中になってしまう。
一方で玲人は教師になるため、その難しさに悩みながらも真面目に実習に取り組んでいた。
美術部の生徒から貴利花の受賞した作品について耳にし、何か得られるかもしれないとその絵を観た玲人は衝撃を受ける。それは玲人にとって初めての体験だった。
貴利花の友人による提案で一緒にデザイン制作をすることになった二人だが、貴利花は浮かれ、玲人はその才能と言動に圧倒されまるで進まなかった。そしてしびれを切らした部長によって引き離されてしまう。
共同作業を打ち切られた貴利花は落ち込み、早く完成させてまた玲人と気兼ねなく話がしたかったが何も思いつけなかった。しまいには友人にまで文句を言い出した部長に怒り、信念に背いたモノを描いてしまうも受け入れられる。自分を許せなくなった貴利花は描くことも気兼ねない雑談をすることも出来なくなってしまう。
貴利花の危機を知った玲人はどうすればいいのかわからず恩師に相談するも、しかし自分の問題は自分で考えるしかないと言われてしまう。
恩師の言葉、貴利花に恋する男子生徒、そして感動した作品を前にして玲人は考えに考え抜いたすえ、自分がただ貴利花と話がしたかっただけだと気がつく。いままで何一つ確かなことがわからなかった人生において、それをわからせてくれた貴利花に恩返しがしたいと。
そして玲人はそれを貴利花に打ち明け、傷心していた貴利花はそれに答えるのだった。