あらすじ

アイドルソング『らびあんろーず♡』のMVは、珍しいことにアイドル本人は一秒も登場しない。当時、中学生だった星野里菜が主演をつとめた五分足らずのドラマ仕立てのMVである。  色盲の少女がオレンジ色のバラを、青色のバラだと嘘をつかれてプレゼントされる。少女はバラを大事にするのだが、騙されているのを知っている周囲は憐れんだり、バカにしたりする。だが、実は少女は青色のバラではないとわかっていた。青いバラの花言葉である『奇跡』ではなく、オレンジ色のバラの花言葉である『無邪気』さを肯定していたのだと最後にわかる。  時は流れ、子役からセクシー女優となった里菜は、自動車免許取得のために休業し、教習所で一歳の子どもとぽっとん落としの玩具で遊んでいた。 「こうやって、形が違うもんは、穴に入らんかったらええのにな」  ぽっとん落としの玩具は、物を掴みはじめの子どもが気に入る玩具だ。子どもでも取り外せるプラスチック製のバケツの蓋に、三角、丸、四角、星、十字と五種類の穴が空いていて、その穴の形にあった五色のブロックを落としていく遊びだ。  自分の子供ではないという無責任さが、育児にゲーム感覚をもたらして、子どもが遊び方を覚えるまで教え続けるつもりだった。だが、大人にとって中毒性の低いことを繰り返すのには限界がある。 「このブロックって、同じ色が二つしかないはずなのに、ぷよぷよみたいに、どんどん消えていくからね」 「ぽっとん落としって、演技に大切なことが色々と詰まってるのかもしれないっすね」

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カクヨム
カクヨム2025/01/17
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