あらすじ
西暦1100年代の中国西部――。
大黎国の東部に暮らす少女・蘭児は、飢饉で食い詰めた親に売られてしまう。本来は妓(娼妓)になるはずが仲介人の雷の機転により、都で限定奉公人である丁となる。しかし、組合のミスで女ではなく男で登録されてしまった。
市場に出た後、蘭児は「李家の若さま」と呼ばれる元皇族の李子鳴に買われる。李子鳴は蘭児に一目惚れしたが、男を愛するのは抵抗があった。李子鳴は廃嫡された皇太子・黎正鵠が幽閉されている女人禁制の円華宮へ連れて行き、そこに蘭児を置き去りにする。
蘭児は正鵠に拾われ、廃嫡殿下の御膳番(毒見役)となり、女であることを隠して暮らし始める。正鵠は政敵・珂家が盛った毒の後遺症で不自由な身体になってしまったが、手話や読唇で意志を疎通し、賢く凛然と生きていた。蘭児は正鵠の傍で働きつつ、徐々に彼に惹かれてゆく。廃嫡令裁判で係争する正鵠には、たびたび暗殺の魔の手が忍び寄る。蘭児は彼を守ろうとするが……?
<目次>
序、廃嫡殿下の出生 ‐とある歴史研究家の私的考察‐
一、最初から存在しないもの ‐蘭児‐
二、寄る辺なき哀妃 -崔凰琳-
三、第一の近侍 -寧-
四、成り上がり太后 -珂栖遠-
五、西方の末裔 -西夷以依-
六、嫌われ上手の若さま -李子鳴-
七、愛を乞う者、守る者 -つがいの二人-
八、大黎皇家の臣と官 -林一家と黎一族-
九、悲風惨雨の皇太子 ‐黎正鵠⁻
十、義に殉じる者たち -忠愛の志士-
十一、歴史に名を残す者 -白菜豆-
終、廃嫡殿下の生涯 -とある歴史研究家の私的考察⁻