あらすじ
近代においても根深く残る痴漢問題。鉄道会社がどれだけ対策を講じても、その悪質な行為を完全に撲滅することはできなかった。社会全体がこの問題に疲弊する中、国鉄はこれまでの「上からの施策」ではなく、利用者一人ひとりの意識変革を目指した新たな試みに着手した。その名も『完全痴漢対策マニュアル』。
このプロジェクトの中心に抜擢されたのは、かつて自身も凄惨な痴漢被害を受けた若手社員、小田朱音だった。過去の傷を抱えながらも、「自分の経験を他の誰かの助けにしたい」という思いを胸に、彼女はプロジェクトチームと共に行動を開始する。
朱音たちの第一歩は、実際に痴漢被害を経験した女性たちの声を聞くこと。被害者が抱える心の痛みや、日常に潜む恐怖の本質を深く知るため、彼女たちは数多くの体験談をまとめ上げた。その生々しい記録は、時に胸を締めつけ、時に怒りを呼び覚ますものだった。しかし、そこに隠された共通点を見出すことで、朱音たちは被害を防ぐための実践的な方法を探り始める。
現場の切実な声に基づき、痴漢に遭わないための知識と行動を具体化する。そして、ただの対策集にとどまらず、女性たちが日常の中で自信を取り戻せるような支援ツールを目指し、彼女たちは一歩ずつマニュアルの完成に近づいていく。
果たして朱音は、自身の過去を乗り越え、痴漢問題の撲滅に一石を投じることができるのか。